農村の6×n次産業化 …MBTを読み解くキーワード
MBTの実現に向けて、当研究所ではいくつかの重要な着眼点を設定している。本ブログではそれらを「MBTを読み解くキーワード」として紹介する。そしてそのうちの一つが、本記事で紹介する「農村の6×n次産業化」(図)である。
農村における①「農商工連携の6次産業化」は、国の支援もあり、これまでにある程度進展し、一定の成果をあげている。但し、これら従来の6次産業は、食料生産を食品加工やその流通販売へと展開する例にとどまっていた。「医療」や「観光・サービス」との連携のもとで、一次産品が発揮しうる産業や地域づくりに関する幅広いポテンシャルを活かすこころみは途上である。
一方、未病に対する関心の高まりから、漢方薬をはじめとする「生薬関連商品・サービス」の需要が急速に増している。このニーズは国内にとどまらず、中国をはじめとする東アジア全域に及ぶ。現在、わが国で利用される生薬原料の8割は輸入に頼っているが、主な産地である中国では価格高騰に加えて安全性に対する信頼がゆらいでおり、高品質で安全な生薬の安定的な確保が日中両国をはじめとする東アジアの主な生薬消費地における共通課題となっている。
そうした中、これまで価格競争力に乏しかったわが国の生薬生産にも再び注目が集まりつつあり、安全な薬用作物の産地形成をめざす機会がおとずれている。これと漢方医療を結ぶことにより②「農工医連携による6次産業化」にも大きな期待が寄せられる。
さらに、薬用作物の産地、むら普請、医療観光を直結させる③「農村医療観光の6次産業化」が進むことにより、6×n次産業化とも呼ぶべき産業の連鎖を出現させることができると考えられる。
本研究所では本年度より、「薬用作物の産地形成と園芸療法を通した医学的エビデンスにもとづく「農村医療観光」の開発による6次産業の創出に関する研究」にて、この実現に取り組んでいる。